「10年前くらい前、レナコの木がたくさんあるジャングルに入った。
美しいブルーの蝶や、色鮮やかな鳥が舞い、別世界、まるで映画の中にいるかのようだった。」
…とジャングル在住のルビーちゃんはイキトスの街並みをボートで進みながら語る。
ジャングルの雨季。川の水がますので人々は2階で生活し、ボートで移動する。
日本も湿度が高いけど、ここまでくると、湿気とか湿度とかもうそういうものはあまり関係ない感じだ。
私たちは、午後、小さなボートに乗り込むとルビーちゃんの話をもとに、魔法の木レナコの住むジャングルをちょっと見に出ることにした。
そこは雨量がある、今この時期しかでボートで入ることができない場所。
あと数週間したら、水が引いて交通手段がなくなり入れなくなるという話だった。
水の上の民家が立ち並ぶ、ベレン地区を通り過ぎるとやがて川の幅はせまくなってくる。
あたり一帯一面浮草に囲まれた不思議な空間へと入っいった。
(写真に見えている緑色の部分は浮き草でこの下一面が川になっている)
まるで陸の上。。。
川の上一面に浮草と私たちのボートだけがが浮いていて浮草が行く手を阻む。
ボートの運転手がそこらへんの棒で浮草を沈めながら進んでいく。
人間の侵入から守っているような大量の浮き草で出来上がった迷路みたいな川道をボートは行く。
やがて雨が降り出し、風景が、がらりとかわりだした。
浮き草がなくなり幾つかのレナコと呼ばれる木々が姿を現し始めた。
これがレナコの木だ。
ちょっと想像していたのとは違ったけど、その幹達の芸術的センスに私たちは大興奮!
「あの木は妖精ハウス!あれは、アナコンダ!これ、まちがいなく、真夜中通りかかったら、木が歩き出しているね。」
それはまるで妖精たちの住処のようだった。
幹や枝が作り出す形状は、門や階段、はしご、部屋、蛇、妖精などに見えてくる。
これはなんだか、精霊の世界への門みたいだ。
このレナコと呼ばれる木、ここイキトスのジャングルでは魔法の木として呪術師達に伝わっている。
それは、蛇のような形で幹同士が絡み合い、さまざまなものを編むようにあっという間に飲み込んで成長してゆく空間と時間を超えた、別な次元で生きている怪物のような木だからである。
いくつものレナコの独特な幹が絡まり合い、まるで一つの巨大な一つの木の幹のようになっている。
巨大な妖精の家みたいだ。
もっと近くで見てみよう。
レナコの木の幹には、異次元ワールドへと繋がっていきそうな、沢山の隙間やポケットが開いている。
そのポケットや隙間に入れたものは、数年で幹の中に吸収される、願望も幹と一体化して、願を叶えてゆくとのことだった。
この奇妙なシルエットからか、呪術師が黒魔術に使ったりすることがときどきあるらしい。
例えば両思いになりたい人が相手の意図とは関係なしに2人の写真を持ってきて呪術師に術をかけてもらう。
二人の写真は木の隙間に挟めておけばやがて幹の中へ吸収される。
そうなった二人は永遠に結ばれるという話だが、これは相手の意思を尊重しない黒魔術だ。
そのため、魔術の木として知る人にはおそれられているのだ。
ルビーちゃん、市場で蛇とかワニとか、大きな幼虫とかショッピングするわりに、
なんと、レナコの木が怖かった。
「KUNUKAちゃぁ~ん。わたしこわーい、鳥肌たってきた。そっちに行けない。レナコの木動くかもしれないから気をつけてね。くれごれも幹に吸収されないでね。。。」
私はね、結構平気なのよこういう樹木。一晩ここで寝たら吸収されていると思うけど。。。
その時、私は全く違ったイメージを見ていた。
あらゆる隙間に様々な色の光を持つクリスタル達を埋め込んでそれを吸収しながら成長していくレナコの木。
その木が人間の欲望を叶えるためではなくて、ちゃんとした意図で使われている様子。
そういえば、親戚だと思われる樹木のに仲間に沖縄のカジュマルがいる。
彼らは幸運を呼ぶ木としてしられている。
タイや、インドではにたような、バニヤンの木は御神木である。
どちらにしろ、どの国でもこの形状の木は、なんだか特別なようだ。
「本物の魔力を持つものは、ちょっと気味悪い。」
ルビーちゃんがいっていたのを思い出す。
私たちは、午後、急に思い立ってここへやってきてしまったので、あっという間に夕方になってしまった。
今回、ここに来たのには、理由があった。
特別な地球の形をしたクリスタルを、木の中に設置して、地球や、自然、環境についての祈りのグリットの木をジャングルに配置する予定だった。
“大木のグリット・地球を癒す魔法”
私は、アマゾンのジャングルの町に滞在中に地球を癒すための魔法を探していた。
おそらくこの魔法にはジャングルの呪術師に伝わるレナコという木をアイテムとして使うのが良いだろう。
”何百年と生き続ける大きな特別な木の生命エネルギーは、木の幹の隙間に埋め込んだ願い事をあっという間に包み込み、幹の中へと吸収し、やがてその大木は、願を叶え、願いと一体化し何百年と生き続ける。”
“ジャングルの奥地にある大きな特別な木に、地球の石を設置し、癒しの魔法をかける”
いくつかの場所で、地球や自然のための願いを発する樹木や場が増え、未来の地球がそのグリットで保護され、一刻も早く癒さ れることを願っている。
KINUKA 2011 6月11日
それには、まだ、他の呪術師達による魔法が施されていない特別なレナコの木を探す必要があった。
何本か見て回るとその、特別な木はすぐにわかった。
まるで、配置された、5,6本の個々の木々が円陣を組むかのように肩を組み、そのサークルは中心のエネルギーや空間を守っているかのように見えた。
私はそのグリットの中に、入りたいといい、ボートを、幹のグリットの中心へ入れてもらう。
みな、すごく緊張していた。
神聖なお寺の御神体の中に入るような気分だった。
このグリットの水の下、なにかとても神聖なる、そういった存在がそこにはいたに違いない。
私は木の窪みをみつけると、地球と、自然を守ってほしいという願いとともに、地球の形をしたペルーの石をその中へと入れた。
「ぷちゃん。」
水のはねる音がした。レナコの幹のどこかにその石は消えていった。
「よろしくね。」
きっともう二度と見つかることがないであろう地球の石と、
レナコ木にあいさつすると、私たちはその場を離れた。
夕方、5時を回るとあたりは薄暗い。
途中、ジャングルに住む住民から、
「あなたたち、危ないからはやく帰って!夜が来るとこの一帯は大蛇がいるから危険なのよ!」
住人は少し怒りながら言った。
「大蛇!!!」
地元の人が言うのだから間違いない。大急ぎでボートは元来た道を進む。
大蛇は特に木の下の水の中や一面水草の浮かんでいる川の中に身をひそめているらしい。。。
特にレナコの木の下。。
神聖なものには、それを守る守護神として決まってなにか特別なものが住んでいるものだ。
船乗りとルビーちゃん、実は、私が、木のグリット設置中、蛇が出る時刻だったからすごくあせってたらしい。
蛇には遭遇していないものの、案の定ジャングルからの脱出は日没にまにあわなかった。
ここからは精霊たちの時間。
あっという間にあたりが真っ暗になり、懐中電灯を持ち合わせていない私たちのボートは暗闇をさまよう。
「やばいな。。。」
水草の上でボートが動かなくなった。たぶん3人ともその状況をまずいと思っていたが、口には出さなかった。
ふと、この地域に伝わる巨大蛇や、人魚伝説や、人さらいのチュラチャキ妖精が頭に浮かんでくる。
まぁ、全部結構怖い都市伝説系の昔話としてアマゾンでは伝わっている。
今、この状況だったら川の中からどれが出てきても納得する。
よくジャングルでは人がいなくなる話を聞く。
精霊たちの時間に、彼らの場所や共有する空間にいた人間がさらわれたり、目撃するのではないだろうか。。。なんて思ってしまった。
「ありえる。。。」
この空間はあきらかに、現実と別な世界がごちゃまぜになった不思議な場所となっていた。
この私から見えている視界を見てほしい。確かに普通ではない。
緑の浮き草の上を蛍が光をはなって飛び回り、波のない川の底からはプクプクと水面下の生き物達のうごめく音。
カメラのフラッシュの明かりで写真は明るく見えているものの、実際は真っ暗闇。
目に見えるものと、見えない別次元のものが、浮草の境界線をこえてやってくるかのようだ。
その暗闇の中で迷子という現実。
今、ジャングルのアマゾン川で浮き草で動けなくなって幻の大蛇に狙われているのではないかという心配を本気でしている。
写真では伝わりにくいけど、360度見渡す限りこの光景なのだ。
朝がくるまで、動けないのではないかという不安から、釣りえさになった気分になり、小さなボートのうえ、血の気がサーッと引いていった。
大蛇はやばい。
精霊の住む場所や彼ら精霊たちの時間に人間が入ってこないようにジャングル守る大蛇。
アマゾン川の水の量と共に、人間の侵入をふせぐ結界を作っている。
「帰り道を教えてください。」
心のなかで唱える。
当てもなく帰り道をさがすこと数時間。向こう側からボートのエンジン音が聞こえてきた。
懐中電灯が私たちを照らした。
この先の民家に帰宅する住人達が3、4人ほどボートに乗っていた。
いつも、本当に困ったところで、助け舟が通りかかる。
その懐中電灯の光。本当にありがたい。
私たちは帰り道の方角を聞き、大きなアマゾン川へ合流することができた。そして雷に追われながらも、精霊の空間と化してしまった夜のジャングルからぬけだすことができたのである。
ジャングルの奥地は精霊達の領域。
夕暮れを過ぎると重なっている別次元が一体化する。人間は日が沈む前に帰ってこないとダメ。
翌朝、ルビーちゃんが言った。
「わたし、レナコの夢を見た。昼間見たレナコの幹でできた門がでてきて、その向こうはやっぱり、アナザーワールドだった。夜になるとあの場所は精霊の世界へとチェンジするんだろうね。」
前々からそう思ってたけど木々が自然と作り出したアーチ状の門やサークルは別次元へのゲートなのだ。
レナコの魔法を無事配置できたことに、心よりこのジャングルを守る主と立ち入ることを許可してくれた精霊たちに感謝する。
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